13歳の時から理亜が若井から与えられていたサプリメント。

植物性女性ホルモンで比較的副作用も少ないのだという。

それは思ったより効きがよく、飲み始めて2年で理亜の乳房は今やBカップを超え、Cカップに差し掛かろうとしていた。

 

中学までは制服を着る前にサラシを巻いて押さえつけてようやくなんとかなっていたが、それでも元々痩せ型だった事もあり、高校に進学した時にはすでに背中を丸めなければどうにも居心地が悪いほどになっていた。

 

そしてプールの時間に事は起こった。

 

(デブの谷縁なんかもっとおっぱいデカイんだから大丈夫でしょ)

 

そう思ってなんとなくプールサイドまで来たのは甘すぎると言うほかはない。

今までバレなかったから、プールでもばれる訳ない、直接見られてもばれる訳が無い、

自分はまだ平凡な男子高校生……少し女装趣味のある……という幻想を未だに抱いていた。

 

プールサイドでパーカーを脱いでから周囲の生徒から異様なものを見るような視線が向けられるのにそんなに時間はかからなかった。

無理もない。部活等の“しごき”を受け、徐々に男性らしい体を手に入れつつある周囲の少年たちから理亜の身体は明らかに浮いていた。

もともと痩せ気味だった為にわずかに括れているような腰、そして何よりも胸 部である。成人女性のように丸みはまだ足りないものの、成長過程で円錐形に尖った乳房と、盛り上がった乳輪、乳首はある意味児童ポルノのようで余計に卑猥だった。

二次性徴の前に女性ホルモンの投与が開始された理亜の身体は、確実に“メスの匂い”を撒き散らしていた。

 

こんな時に真っ先にからかってきそうな麻生でさえ理亜の胸部を見つめて、何を言えばいいのか戸惑っている様子だった。

初日は準備体操や成績評価の説明等が主な課題でほぼ水中につからなかった事もあり、理亜は同級生たちの戸惑いと無遠慮さの入り混じった視線にさらされ続けた。

 

「おまえ女みたいな胸だな」

そう言ってからかって、イジってくれる奴が居ればどんなに救われた事か。

もはや理亜は男子高校 生のプールの授業にまぎれこんだ、膨らみかけの乳房を露わにしている少女だった。

なるべく自分の存在を小さくしたい、できる事なら消えてしまいたい……そんな思いで脇を締めながら行った準備運動は皮肉な事により少女らしい動きを演出する事に一役買う事となる。

 

シャワーへ向かう最中、何か皆の様子がおかしいのに気付いた。

単に理亜への接し方が解らずに戸惑っているのでもない、何か明らかに姿勢が……

(ああ、皆僕を見て勃起してるんだ)

同級生たちの半数が、勃起を隠そうとする男性が取る例の前かがみの姿勢だった。

 

だが、シャワーを浴びながら理亜は気付いた。

ホルモンの影響によって矮小化していった筈の自らの男根が異常にいきり立っている事に。

それは彼 ……彼女……が初めて気付いた「自分の体で男を欲情させる」事の快感だった。

 

(でも本当はちょっと期待してたんだけどね)

 

そう、理亜はプールに入る前からこうなる事は半ば計算済だった。

そもそも“理亜”という人格は思春期の少年が成人雑誌などで発情した時に芽生えた性欲・欲情にのみ起因している存在。

言わば「男の性欲が具現化された女」なのだ。

 

例えそれが宿っているのが少年の身体とは言え……いや、少年の身体だからこそ少年ならではの純粋であるが故に凶暴で異常な性欲が理亜を更なる淫乱な気分へと駆り立てた。

 

普通は男性が女性の肉体を見て性欲を掻き立てられる。

だが理亜の場合、男性の性欲を掻き立てている当の本人も自分の肉体を見て興奮しているのだ。

そして周囲の人間も自分と同じように自分の身体に欲情している事が解るとそれがまた興奮を加速させる……。

 

アンプとマイクが音を無限に拾いあってハウリングを起こすように、理亜の性欲はどんどん暴走していく。

 

もう1度自分の男根を見下ろす。

円錐形に尖った発展途上の乳房の谷間の下にそびえたつ……それはまさにそびえたつという表現がふさわしいほどだった……それはその瞬間、プー ルに居たどの男子よりも硬く大きくなっていたのは間違いない。

何せ露出という行為に脳が焼かれてしまったばかりなのだから。

自分の乳房を衆人環境に晒すのがこんなに気持ちいい事だとは思わなかった。

 

乳首には成長痛で常にジリジリとした違和感を抱えていたが、それに加えて極度の性的興奮で限界まで勃起した乳首が理亜に与える心地よい痛みは凄まじいものだった。

(あ、乳首もこんなに“勃つ”んだ……)

 

立花と目が合った、一瞬で逸らされたが明らかにこちらを見ていた。

 

理亜は頭を洗うように両手を後ろにやって、上半身を逸らした、膨らみかけの乳房を少しでも強調する為に。

男根と同じぐらい、あるいはそれ以上に勃起した理亜の乳首にシャワーがまともに降り注ぐ。

思わず声が出そうになったが、かろうじてそれをこらえて手を頭にやって髪を 洗っている風を装い、上半身を更に逸らせシャワーによる刺激がよりダイレクトに乳首を襲うように仕向けた。もちろんそれは乳房をより強調する為でもあり、同級生たちの遠慮の無い視線に自らのそれを晒す為でもあった。

 

おそらく普通の男子高校生の送る高校生活はもう望めないだろう。

友人たちは自分から距離を置くかもしれない。

 

(それでもいい……)

 

乳首を愛撫してオナニーをした事はあった。

だが今、露出の興奮によって誰が見ても勃起していると明らかな乳首を刺激するとどれほど気持ちいいのだろう。

 

触るとそれを悟られるかもしれない、でもさりげなくならば大丈夫なはず……そう自分に言い聞かせ、理亜はついに髪を洗っていた右手を下ろす振りをしてそのまま右の乳首を撫でた。

 

(左も……)

 

次は髪に持っていった手を今度は両方とも下ろし、乳首に一瞬触れた。

 

まだ乳房全体がブルッと少しだけ震えた。

 

シャワーの冷たい水滴が乳首に当たる快感、同級生たちが自分の体に釘づけになっている快感、彼らの前に猥褻物を晒している快感、それらが相まって、理亜はチンポを触ることなく立ったまま果てた。